Nov 07, 2010
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【ワシントン=犬塚陽介】エジプトのムバラク大統領の辞任を受け、オバマ米大統領は非暴力を貫いた反政府デモによる政権崩壊を「歴史的」と歓迎する姿勢を示している。流血を伴うデモ弾圧を回避し、エジプト軍主導で新政権移行を進めるシナリオは、少ない選択肢の中でオバマ政権が模索した打開策だった。一方で、歴代米政権が約30年にわたって盟友関係を維持してきたムバラク政権の崩壊で、オバマ政権は対テロ戦争を含む中東戦略の根本的な見直しを余儀なくされることになった。
オバマ大統領は声明で、「国民の変革への渇望に応えた」とムバラク氏退陣を歓迎。全権を掌握したエジプト軍には「偽りのない政権の移行を遂行しなければならない」と訴えた。
オバマ大統領は2009年6月のカイロ演説で「イスラム世界との融和」を掲げるなど、就任当初から、アラブ諸国に対して強要は避けながらも民主化の浸透を促してきた。
エジプト騒乱でも「自由と人権の尊重」を重ねて要求。新政権を主導できる野党指導者が不在の中、約30年にわたる巨額の軍事援助で密接な関係にある軍主導の新政権移行は「最小限の混乱で民主化に導く最も現実的なプロセス」(外交筋)とされる。
オバマ政権は当面、エジプト軍との強固な関係を軸に、野党勢力との協調関係を築き、親米政権の存続を模索する。
一方、中東では、米国の理念と相反する強権体制がイスラム原理主義勢力の台頭を抑えてきた側面は否定できず、その象徴だったムバラク政権の崩壊が与える衝撃は計り知れない。
中央情報局(CIA)のパネッタ長官は下院情報委員会で、エジプトと同じ状況にあるアラブ諸国は複数あり、「エジプトが引き金となって他国に影響を及ぼす可能性がある」と警戒感をあらわにした。
特にエジプトと同様イスラエルと平和条約を結ぶヨルダンや対テロ戦争で協力関係にあるイエメンなどに“ドミノ現象”が起これば、イスラエルの安全保障と世界経済の大動脈であるスエズ運河の安定を柱とする長年の米国の中東戦略が根底から揺らぐ危険がある。
オバマ政権は、抜本的な改革に難色を示すアラブ諸国に民衆側の要求に応じた民主化への軟着陸を促しながら、米国の影響力も維持させるという極めて困難なかじ取りを迫られている。
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【ワシントン時事】オバマ米大統領は12日、週末恒例のラジオ・インターネット演説で、週明けに発表する予算教書について「分相応の生活に切り詰めると同時に、将来への投資を促すものだ」と述べ、国民に理解を求めた。
2012財政年度(11年10月〜12年9月)の予算教書では、巨額の財政赤字削減のための5年間の歳出水準凍結を盛り込む一方で、道路や高速鉄道などのインフラ拡充など「将来への投資」を打ち出す。
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【テヘラン=久保健一】イランの改革派主要政党「イスラム・イラン参加戦線」は12日、エジプトのムバラク大統領辞任にあたり声明を発表。
その中で、「ムバラク政権とイランの権威主義的支配者は驚くほど似ている」と指摘し、「我々も(エジプトの反体制派と)同じ方法で戦っていく」と述べ、反政府デモ再開を目指す考えを示した。改革派は、14日に、エジプト反体制派を支持するデモを計画している。
イランのイスラム体制は、エジプトの反体制デモを支持し、その様子を国営テレビでも大々的に報道している。だが、ムバラク氏退陣が実現したことで、下火になっていたイラン改革派の反政府運動が再燃するかどうか注目される。
【カイロ=大内清】ムバラク前大統領から全権を移譲されたエジプト軍の最高評議会は、民主化に向けた改革推進策を近く提示する。今後のプロセスの焦点は、軍主導でどこまで民主化が進展するかに移るが、多くの国民が望む旧体制の変革に軍がどこまで踏込むかはなお不透明だ。
エジプト軍は1952年の軍事クーデター以来、国内政治に隠然たる力を誇ってきた。56年に就任したナセル元大統領以来、大統領は3代続けて軍出身者であり、内閣の要職にも多数の元軍人が据えられてきた。
政府も手厚い福利厚生を保証するなど軍関係者を厚遇。非合法のイスラム原理主義組織ムスリム同胞団を国の安定への「脅威」ととらえ、米国との強固な関係を維持するなどの点では、ムバラク政権と歩調を合わせてきた。
一連の反政府デモ発生後、ムバラク氏が辞任を拒否できたのは、軍の支持をつなぎ止めていたからにほかならない。それが11日、一転して辞任を余儀なくされたのは、軍が混乱した情勢を収拾するためにムバラク氏に見切りをつけたためである可能性が高い。
ただ、最高評議会は10日午後、11日午前に出した声明で、ムバラク氏が打ち出していた改革案を支持する姿勢を示していて、現体制を崩壊させることなく軟着陸を図るというムバラク氏が目指した路線自体には異議を唱えていない。
軍は、ひとまず国民を納得させるためにムバラク氏に引導を渡す一方で、軍を後ろ盾とする政権が国家を運営する既存の政治体制は温存させる道を選んだとみることもできる。
エジプト政治に詳しい米エジプト人会会長のシェリフ・バシウーミ氏は11日夜、中東の衛星テレビ局アルジャジーラのインタビューで、エジプトが今後、政治の混乱期に軍が国政に介入する「トルコ型」国家に向かうのではないかとの見方を示した。
一方、専門家によると、最高評議会を主宰するタンタウィ国防相はムバラク氏と近い半面、スレイマン副大統領とはライバル関係にあったとされ、今回のムバラク氏辞任劇の裏には、軍出身者間の権力闘争の側面があった可能性もある。
最高評議会は今後、野党勢力との対話を通じて民主化への道筋を模索するとみられるが、対話に同胞団が含まれるかや、野党側にどの程度の発言権が認められるかなど、不明確な点は少なくない。
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